水産栄養学

本研究では、既存のクロアワビ用配合飼料(MAC)にタモギ茸抽出粉末、サトウキビバガス、カゼイン、フルボ酸、オメガ3脂肪酸および萬田酵素を添加した高機能配合飼料を試作し、脂肪酸、アミノ酸およびビタミン組成の変化を評価した。

分析の結果、EPAおよびDHAはそれぞれ約4~5倍に増加し、ビタミンEも約2.6倍に増加した。また、成長に関与する分岐鎖アミノ酸(BCAA)の一つであるバリンは約3.8倍に増加し、脂質・アミノ酸・抗酸化成分の総合的な栄養価向上が確認された。

これらの結果から、本飼料はクロアワビの成長、生残率、ストレス耐性および商品性向上に関与する可能性を有することが示唆された。一方で、本研究は栄養成分分析による評価であり、実際の成長促進効果や生理機能への影響を示すものではない。今後は飼育試験や遺伝子解析を通じて、殻長成長、体重増加、生残率、K値および成長関連遺伝子との関係を検証し、クロアワビにおける成長機構との関連性を明らかにする必要がある。

本研究成果は、水産栄養学に基づくクロアワビ用高機能飼料開発の基礎データとして位置付けられ、今後の高付加価値型クロアワビ養殖技術の確立に向けた重要な知見となることが期待される。